川越市・さいたま市のアリス動物病院です。
今回のテーマはマラセチアです。
マラセチアとは3μm~5μmほどの非常に小さな卵円形をしているカビ🦠の仲間で、皮膚や耳👂の中に常在しています。
マラセチアは皮脂を栄養としており健康な皮膚では少量なため問題は起きません。しかし、皮膚の状態の変化や他の病気が元でマラセチアが増殖することで症状を引き起こします。
マラセチアが増殖する原因として過剰な皮脂や多湿、皮膚のバリア機能の低下があげられます。また、アレルギー性疾患、細菌性疾患も起こる原因になります。
マラセチアの症状は耳、口、脇の下、股の内側、肛門周囲または全身にみられます。症状としてはチョコレート色の臭いの強い耳垢が特徴的です。痒みで顔や耳を掻いたり地面に擦り付けたりもします。皮膚を傷つけ皮膚炎を起こし、耳のマラセチアが増殖することで外耳炎を引き起こします。他の症状として様々なフケ、皮膚が色素で黒ずんだり、脱毛や紅斑、苔癬化などです。また、マラセチアは他の疾患と随伴して発症するため、アトピー、ノミアレルギー、食物アレルギー、脂漏症などの病因を考えておく必要があります。
マラセチアはあらゆる年齢及び犬種の成犬に発症します。特にマルチーズ、シェットランドシープドック、プードルなどに発症が多いです。また、季節としては湿度が上がる梅雨の時期に多くなります。
マラセチアの症状を疑う場合、有効な診断方法は鏡検です。綿棒で幹部皮膚あるいは耳道を擦り、またはセロハンテープで患部をサンプリングして染色することで容易に検査が可能です。
治療法は原因となる要因の治療とともに抗生物質と抗真菌剤の長期治療およびシャンプー療法の併用です。
マラセチアは再発を繰り返すことが多い疾患であり治るのに根気が必要な疾患です。また、他の疾患の早期発見のためにも痒みがあるなど怪しいと思った場合、早めにご相談ください。🐶
20210616(P)